新しい価値をつくる、デザインマネジメント
【第四章】地雷除去を無人化に!デザインが社会問題の解決へ ~基礎編④~
現在の日本には、優れた技術や質の高い製品・サービスなどが数多く普及しています。そこには長い年月をかけての努力と成果があり、海外の国々と比較してもトップレベルといえるでしょう。しかしながら、近年、欧米諸国で活発化している企業のように、高技術や高品質はもちろん、感性・創造性から生み出される戦略を行う国内企業はほとんどありません。その戦略こそが「デザインマネジメント」なのです。デザインマネジメントとは何か?デザインマネジメント専門家である草野が段階的に解説していきます。
デザインは素晴らしい可能性を秘めている!
デザインは論理的思考の対極にあるもので、感性によって直感的に判断されることが多くあります。なぜなら、デザインの良し悪しを言語で説明するのは難しく、どうしても評価が感想型となってしまうからです。しかし、だからこそ論理を越えて人々に感動を与える可能性を持っており、感動から人を動かすこともできます。
デザインで社会問題を解決した事例「Mine Kafon」
2013年にクラウドファンディングサービスサイト“KICKSTARTER“にてプロジェクト化された「Mine Kafon」というものをご存じですか?
※上記写真はサイトより引用
「Mine Kafon」とは砂漠を転がりながら、地雷を除去する装置です。
アフガニスタン出身のデザイナーMassoud Hassaniが、道路の上を転がる回転草の自然の動きからイメージして制作した装置で、「Mine Kafon」1つでおよそ3~4基の地雷を除去できるものだそうです。動画を見ていただけると、簡単に理解できます。
 
動力として利用しているものは砂漠に吹く風です。材料もプラスチックと竹を使うことでリーズナブルなものに仕上がっています。そして何より「Mine Kafon」最大の特徴は人間が地雷のそばに行く必要がないため、とても安全です。
「Mine Kafon」は当時、KICKSTARTERで119,456ポンド、日本円で2,000万円ほどの資金調達をし、世界中から注目を浴びました。
 
デザインの力で、社会的な問題の解決への一歩を踏み出した事例といえます。
この「Mine Kafon」から、デザインの持つ可能性を挙げてみます。
デザインマネジメントは、
ある問題に革命的な解答を生み出す可能性を持っている
今までの地雷撤去の主流は地面に生えている草を撤去し、金属探知機や犬の嗅覚を用いて地雷の有無を調べる。そして慎重に発掘をして、機械で爆破処理をする工程が必要でした。
もちろんその処理の過程では人間の存在が不可欠であるため、撤去中に地雷によって手足を失ってしまう人も多くいました。
その点「Mine Kafon」は、自然の風のみを動力としているため、使用できる場所にある程度の制限はありますが、従来の地雷撤去の方法を覆し、無人化で安全性を最大限に高め、またコスト面でも大幅な削減を実現した、まさに地雷撤去においてイノベーションを起こしたといえます。
言語の壁を越えて世界中の人々の理解を得る
デザインはそもそも非言語のコミュニケーションツールとして利用されています。
専門的な言葉では「アフォーダンス(affordance)」と言います。
「アフォーダンス」とは、形態だけでどのように使用すればいいのかを直感的にわかるようにデザインすることです。
例えば、水道の蛇口や車のハンドル、フォークなど、説明書がなくても利用できるものです。
デザインマネジメントは、
論理を越えてたくさんの人々の感性を刺激する
「Mine Kafon」プロジェクトは、インターネットを介して資金調達に成功しました。
もちろん、アフガニスタンのデザイナーが訴える姿勢が、たくさんの人の感性を刺激したことはいうまでもありませんが、それだけにとどまりません。デザインが魅力的であったことも多くの資金を集めることに成功した大きな要因といえます。
このようにデザインは、小さなきっかけで世界的な社会問題すらも解決してしまう可能性を秘めているのです。
Mine Kafonプロジェクトの未来
2016年には、Mine Kafonがさらなる進化を遂げて、従来方式よりも地雷を20倍高速撤去するドローン「Mine Kafon Drone」のプロトタイプが登場しました。
地雷がある地域を最新技術のGPSによって、3Dマッピングで地雷地域を視覚化させて、地雷センサーによってすべて探知させ、記録し、起爆物を地雷に落下させて除去するという仕組みです。
※上記写真はサイトより引用
私たち日本人にとって地雷は無縁なものであるが、世界には地雷が埋まったままの国々がまだまだ多く、今でも毎日、数十人もの人が紛争時代に放置された負の遺産、地雷によって生命を落としているそうです。
地雷撲滅を目指して立ち上がった志高き者たちー
世界中のすべての地雷を撤去する。デザイン思考を用いて「洞察」「観察」「共感」のプロセスを通し、違った解決策を生み出し実行する。そのための準備として、解決すべき社会問題を明らかにすることによって、常識や過去の慣習にとらわれない手法=デザイン思考(デザインシンキング)を生かしたプロダクトの開発を目指す。このようにデザインは、社会問題をシンプルな問題に置き換えて解決へと導く力を持っています。
   地雷のない世界へー
たしかに、彼らの情熱とクリエイティビティさえあれば、そんな未来も決して遠くはないのかも知れない…。
次回の『新しい価値をつくる、デザインマネジメント』  
【第五章】デザイン思考(デザインシンキング)は「アソビゴコロ」を大切にする~基礎編⑤~
草野  紀親(くさの のりちか)   
デザインマネジメント専門家
株式会社かたちなきもの 代表取締役
VALUE LABO Founder 
 
1973年4月22日生まれ、福島県出身。デザインマネジメント専門家。ブランディング・クリエイティブ業界での実務経験25年。ブランドコンサルファーム、クリエイティブプロダクション、広告代理店にて、デザインマネジメントの知識と経験を養い、広義なデザイン(人、環境、モノ、仕組み、問題提起、コミュニケーションツール) のデザインマネジメントのあり方と技術を磨く。その後、ブランドコンサルファームの創業立ち上げ支援、最高執行責任者を経て、株式会社かたちなきものを設立。後進の育成や、日刊工業新聞社、中小企業、大企業、地域、研究機関、大学など、各方面で講師活動も精力的に行っている。
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